第6章 希望の道
「でも、なんで逃げたんだ?」
マルコーさんが住んでる家を教えてもらい、そこへ向かっている最中、エドワードくんがそう尋ねた。
「マルコーさんが行方不明になった時、極秘重要資料も一緒に消えたそうです。もしかしたらマルコーさんが持ち去ったのではないかと噂されていて……。私たちのこと機関の回し者だと思っているのかもしれませんね」
「ここだな」
少佐の見つめる先がマルコーさんの住む家。
エドワードくんが軽快な足取りで階段を上り、軽く扉をノックしゆっくりと開けた。
瞬間。
銃声の音が鳴り響いた。
間一髪のところで銃弾を回避することができたエドワードくんは、左手で心臓を抑える。
またいつ発砲するか分からない、私は彼を護るために前に立つ。
「何しに来た!!」
「落ち着いてください、ドクター」
震える手で硝煙の上がる銃をかまえるマルコーさん。
一体何にそんなに怯えているのか、声を荒立てている彼をアームストロング少佐が説得するも、聞く耳をもってくれない。
「私を連れ戻しに来たのか!?」
あそこにはもう戻りたくない、と叫ぶマルコーさん。
「違います。話を聞いてください」
「じゃあ口封じに殺しに来たのか!?」
「まずはその銃をおろし……」
「だまされんぞ!!」
「落ち着いてくださいと言っておるのです」
温厚篤実な少佐がとうとう痺れを切らし、担いでいたアルフォンスくんをマルコーさんにむかって投げつけた。
そのおかげか、漸く落ち着きを取り戻したマルコーさんは私たちを家の中に招き入れた。