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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第6章 希望の道






「知り合いか?」
「はい。私は会った事ありませんが、両親と一緒に働いていたと聞きます」
「中央の錬金術研究機関にいたかなりやり手の錬金術師だ。錬金術を医療に応用する研究に携わっていたが、あの内乱のの後、行方不明になっていた」
「降りよう!」

リゼンブールはまだ先だが、エドワードくんは慌てたように席を立った。
どうやらそう言う研究をしている人間であれば、生体錬成について知っているかもしれないと思ったらしい。
しかし好都合だ。
私も彼と話をしたかった。
私の両親もあの内乱の後、行方不明になってしまった。
もしかしたらマルコーさんなら両親の居場所を知っているかもしれない。

私も急いでエドワードくんのあとに続いて汽車を降りる。
家畜車両に乗せられたアルフォンスくんを下ろしたのはいいが、あまりの羊臭さに顔を顰めれば「さんまでひどいやい」と泣かれてしまった。

少佐がアルフォンスくんが入っている木箱を担ぎ、私たちはマルコーさんの後を追った。
駅から暫く歩くと見えてきたのは小さな村。
マルコーさんを探すために村の人たちに話を聞くことになったが、誰も「ドクター・マルコー」の存在を認知していなかった。
どういうことだろうか、と考えあぐねていると少佐がメモ帳にマルコーさんの似顔絵を描き始める。
その絵のうまさにエドワードくんと一緒に驚いていると、村の人が「マウロ先生じゃないか」と口々に言った。

どうやらこの村では偽名を使っているらしい。
確かに軍の人間がいつ探しに来るか分からない状況で本名を使うわけにはいかないか。


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