第6章 希望の道
ヒューズさんは仕事が山積みだからすぐに中央に戻らなきゃいけないと言っているし、大佐は東方司令部を離れる訳にはいかない。
リザさんはサボり魔の大佐を見張ってなきゃいけないし、ハボックさんはスカーから守り切れる自信がないと言い、それに意見が一致するブレダさん、ファルマンさん、フュリーさん。
「決まりだな!」
スカーに対抗できエルリック兄弟を護衛できるとなると少佐以外適任はいないだろう。
少佐が護衛なら、私が一緒に行く必要はないのではないかとふと思った。
溜まっている仕事があるのならそちらを片付けたい、なんて思っていると、必死な形相で私を見つめるエドワードくんと目が合った。
頼むから一緒にいてくれ、と目が訴えている。
少佐は確かに暑苦しくはあるが私なんかより頼りになる人ですよ、と言いたかったが彼にとってはその暑苦しさが耐えられないのだろう。
不服だと言わんばかりに喚くエドワードくんだが、大佐がそれを許すはずもない。
「まだ駄々をこねると言うのなら、命令違反という事で軍法会議にかけるがどうかね?」
「うおお!!汚え!!」
権力を振りかざされてしまえば抗う術などなく、大人しく白旗を振り素直に従うしかない。
明日には出発ということで、荷づくりをしたのだが、まさかアルフォンスくんが荷物扱いされるだなんて誰が予想できたろうか……。
明らかに落ち込む兄弟になんと声を掛ければいいのかわからぬまま、次の日を迎えてしまった。