第6章 希望の道
骨を噛み砕く音、肉片を噛みちぎる音、床に血が飛び散る音などが響く中、ラストとエンヴィーは大して気にする様子もなく平然とその光景を目にしていた。
「そういえばさぁ」
何かを思い出したようにエンヴィーが話を切り出す。
「イーストシティのショウ・タッカーが殺されたって」
「タッカー……。ああ、綴命の錬金術師。いいんじゃないのべつに。あんな雑魚錬金術師」
「タッカーの事はいいんだけどさ。また例の"奴"なんだよね」
エンヴィーの言葉にラストは反応した。
国家錬金術師ばかりを殺している人物に覚えがあった。
「イーストシティって言ったら焔の大佐とあの子がいたかしら」
「そ。ついでに鋼のおチビさんも滞在中らしいよ」
計画のジャマをしたことに対してラストはエドワードに腹を立てるも、計画遂行のためには彼の存在が必要不可欠で死なせるわけにはいかない。
なぜなら彼は――――――。
「大事な人柱なんだし」
人柱とはなんなのか。
彼らがやろうとしていることはなんなのか。
彼らは一体何者なのか。
それを知る者はこの場に誰一人として存在しない。