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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第6章 希望の道






「ところでエンヴィー。いつまでその口調と格好でいるつもり?気持ち悪いわね」
「やだなぁ。ノリだよ、ノリ。でもどうせ変身するならさぁ、やっぱりムサいじいさんより―――こういう若くてかわいい方がいいよね」

先ほどまでコーネロの姿だったそれは、錬成反応と共に体のラインに沿った黒い服に身を包み、長い髪の毛を揺らした中性的な姿へと変わった。

「中身は仲間内で一番えげつない性格だけどね」

声をあげて笑うラストだったが、後ろから聞こえた「化け物!!」という声にぴたりと笑うのをやめ、声のした方へと視線を向けた。
そこにはコーネロの部下である教団の一人が、目を大きく見開き身体を震わせていた。
どうやら運悪く、エンヴィーが変身するところを見てしまったようだ。

「本物のコーネロ教主はどこへ行った!?」

本物がいればエンヴィーが化ける必要もなく、リオールの街を統べる必要もない。
あの日、エドワード達がコーネロの野望を打ち砕いてりこの街を去ったその日、彼は死んでしまった。
いや、殺されたと言った方が正しい。
ラストという女の手によって。

本物のコーネロは死んだ。
そのことを男に説明する義理はない。
それよりも変身した姿を見られたことをどうにかしなければいけないが―――それは杞憂に終わった。
ぐううとお腹の音を鳴らしたグラトニーが、大きな口を開けて男の顔にかぶりついたのだった。


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