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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第6章 希望の道





――Other side――



―――……群衆が暴徒化した、リオールの街。
至る場所から炎や煙が上がり、建物は崩壊し、人々は殺気立ち多くの血が流れている。
子ども泣き叫ぶ声や助けを求める声は、暴動に掻き消され、誰の耳にも聞こえず、誰の目にも止まることはない。

その様子を見下ろす3つの影。

ウェーブのかかった長い髪をなびかせる女性。
小柄なずんぐりむっくりとした体形の男性。
そして、太陽神レトの代理人であるコーネロ教主。

コーネロは言った。
女性―――ラストが情報を操作して教主である自分が教団の者を煽っただけですぐに暴動が起きる。
人間という生き物は単純だ、と。

「流血は流血を。憎悪は憎悪をよび、膨れ上がった強大なエネルギーはこの地に根を下ろし、血の紋を刻む……。何度くり返しても学ぶことを知らない。人間は愚かで悲しい生き物だわ」
「だから我々の思うツボなのだろ?」

コーネロの言葉にラストは口角をあげた。

「また人がいっぱい死ぬ?」
「そうね、死ぬわね」

ずんぐりむっくりした男―――グラトニーの問いにラストは確信を持って答えた。
今と同じような光景を何度も何度もこの目にしては、何も学ぼうとせず変わらない人間を、憐れで醜いと蔑むようになった。
だからこそ、自分たちの思うように動いてくれるおかげで都合のいい生き物だとほくそ笑んだ。


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