第5章 雨の後
彼と入れ替わるように看護師と医師が入ってきた。
医師曰く、2日程検査入院をし何も無ければ退院だと告げられたが、私は今すぐにでも退院したいと申し出た。
私の異常なほどまでの体温の低さと、出血量を鑑みると最低でも1日は入院しなければいけないと言われてしまったが、それでも私は首を縦に振ることはなかった。
そのかわり、今日の検査だけはしっかりと受けることを条件に半ば無理やり退院にありつけた。
検査と退院の手続きが終わったのは、午後の7時を過ぎたくらいだった。
思ったより時間がかかってしまい急いで着替える。
外には既に軍用の車が待っておりそれに乗り込んだ。
東方司令部前に到着し、私は急ぎ足で執務室へ行くと一番最初に出迎えてくれたのは、ヒューズさんだった。
「ーーーっ!!」
「ヒュ、ヒューズさん……!!」
思い切り私の身体を抱きしめるとヒューズさんはうりうりと顔を寄せた。
「あ、あのなんでヒューズさんがここに?セントラルの仕事はいいですか?」
軍法会議所に勤める彼は年中多忙なはずで、今回の件も合わせればここに何日も滞在なんてできるわけがない。
「おまえのことが心配だったから部下に仕事押しつけてきた」
「……………職務怠慢」
えっへんと胸を張るヒューズさんだけど、それ威張っていう事じゃない。
全身の力が抜ける感覚がしたが、アームストロング少佐の姿も見つけてしまい、完全に全身の力が抜けた。
彼等の部下は今頃大丈夫だろうか。