第5章 雨の後
一体どれ程の間抱きしめあっていただろう。
離れるタイミングを完全に見失ってしまった。
どうしようかと悩んでいると、病室の扉が軽くノックされた。
びくりとお互いの肩が揺れ、慌てて身体を離す。
「あら、目が覚めたんですね」
入ってきたのは、巡回でやってきた看護師だった。
あっという間に点滴を交換し終わると、担当医師を呼んでくると言い病室を後にする。
再び2人きりになった病室には微妙に居心地の悪い空気が流れている。
「じゃあ……オレ、司令部に戻るよ」
「そう、ですね……。私も検査が終わり次第司令部に戻ります」
「はぁ⁉さっき目が覚めたばかりなんだぞ。それに怪我だって……」
「1日でも早く元の身体に戻りたいのでしょう」
その言葉にエドワードくんは言い淀んだ。
大きな息を吐く彼は、サイドテーブルに置いてあった紙袋を手渡した。
中に入っていたのは、私がいつも着ているシャツと黒のパンツが入っていた。
「ホークアイ中尉がの家から持ってきたって。仕事がまだ残っているからオレに預けてくれたんだよ」
「そうですか、ありがとうございます」
「………司令部で、待ってっから」
そそくさと病室を出て行くエドワードくん。
少し耳が赤く見えたのは気のせいだろうか。