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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第5章 雨の後






「あなたが……殺されると思ったら……」

瓦礫の隙間からスカーの右腕がエドワードくんの頭を掴んだのが見えた瞬間。

「身体が勝手に……動いていました……っ」

心臓が止まるかと思った。

「エドワードくん……、生きてて、よかった……っ」
「っ!!」

子どものように泣きじゃくって、ぐしゃぐしゃに顔を歪ませる。
止まることを知らない涙は、シーツを汚していく。

「……なんか、変な気持ちだ……」
「なん、ですか……」
「に泣いて欲しくなんかない。できれば笑っていてほしいって思ってるのに、お前に……お前がオレのこと心配して、オレのために泣いてくれてると思うと……すげえ、嬉しいんだ」
「……エドワードくん……」

涙で濡れる瞳でじっと彼の瞳を見つめる。
金色の目がまっすぐに私を見つめ返し、彼の左手の指がそっと私の頬に触れ、優しく涙を拭う。
熱のこもった指先は驚くほど優しく、思わずその熱に頬をすり寄せ、瞳を閉じる。
彼の体温をもっと感じていたい。

「……あったかいです」

思わず零れた本音。
びくりと彼の手が震えた。
そっと目を開けると、頬や耳を真っ赤に染め上げたエドワードくんの姿が映った。
それを見て私も自分が今何をしているのか気が付き、彼と同じように顔を赤く染めた。



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