第1章 三人の錬金術師
「あら、たしかさっきの……」
暫く、礼拝堂にいるとロゼさんが中に入ってきた。
「レト教に興味がおありで?」
「いや、あいにくと無宗教でね」
「いけませんよ、そんな!神を信じうやまう事で日々感謝と希望に生きる……。なんとすばらしい事でしょう!信じればきっとあなたの身長も伸びます!」
力説するロゼさんに思わず吹きだしてしまった。
身長が低い事を気にしているエドワードくんはロゼさんに突っかかりそうになるが、アルフォンスくんがそれを宥めた。
こうしてみると、アルフォンスくんのほうがお兄さんに見えるな。
エドワードくんは、長椅子に腰を下ろしゆっくりと足を組んだ。
「……ったく。よくそんなに真正直に信じられるもんだな。神に祈れば死んだ者も生き返る……かい?」
その問いかけに彼女は何の迷いもなく頷いた。
疑うことなく、ただ、そう信じている。
信じる者は救われる……果たして本当にそうだろうか。