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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第5章 雨の後






――・アールシャナside――


スカーとの激しい戦闘の後、意識を失った私は病院のベッドの上で目を覚ました。
ぼんやりとする視界の中、自分の腕に繋がれた点滴を見つめる。
トクトクと、命の鼓動に耳を傾ける。

ああ、生きている。

実感すると共に、掌から感じる熱に漸く気が付いた。
そちらに目をやると、私の手をぎゅっと握り締めて寝息を立てる少年の姿が。

「……エド、ワードくん……?」

身体は悲鳴を上げているが、身体を起こし彼の名前を呼ぶと長い睫毛を揺らしながら彼が目を覚ました。
まだ寝ぼけている瞳が私の瞳とキレイにぶつかる。

「…………」

掠れた声が心地よく耳の奥に響く。
徐々に覚醒したのか、彼の金色の双眼が大きく見開かれていく。
眉間に皺を寄せ、心配そうに私を見つめるエドワードくん。
こんな表情をさせてしまうなんて、護衛失格だ。

「…………、目が覚めたんだな」
「ご心配をおかけしました。……私は何日くらい眠っていましたか」
「丸2日だな」
「……そんなに、」

早く軍に戻って始末書の提出やスカーのことなど諸々報告しなければ。
いろんな人に迷惑をかけてしまったんだ、その謝罪もしなければいけない。
そんなことをブツブツと無意識のうちに声に出ていたらしい。
エドワードくんが眩しいほどの笑顔で私を見つめた。



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