第5章 雨の後
その後、男との激戦が繰り広げられたが追い詰めたところで逃げられてしまった。
先ほどまでの緊張感も恐怖もなくなったけど、まだ安心できない。
オレは転びそうになりながら、アルと元へ急いだ。
「アルフォンスくん!」
もボロボロなのに、アルのことを心配しおぼつかない足取りで近づいてくる。
「おまえも、大丈夫なのかよ……」
「私のことはいいです……。それよりアルフォンスくんが……」
いいわけないだろ……。
オレたちを護るためにそんな傷ついて……。
自分の弱さに唇を噛みしめていると、突然アルに思い切り殴られた。
「……この……バカ兄!!」
殴られた頬を抑えてぽかんとアルを見ると、震える声で叫んだ。
「なんでボクが逃げろって言った時に逃げなかったんだよ!!」
「だからアルとを置いて逃げる訳に……」
「それがバカだっていうんだーーーっ!!」
また殴られた。