第5章 雨の後
「いい度胸だ……」
「いくぞ!!」
アルと2人で、男に向かって同時に走り出す。
しかし、オレたちが攻撃をするよりも早く、男の右腕がアルの鎧を破壊した。
右足がもがれバランスを崩したアルは地面に倒れる。
「アル!!!」
崩壊した建物の下敷きになり生きているのか死んでいるのかわからない、無残にも破壊され立って逃げることのできなくなった弟。
それもこれも全部オレが弱いせいだ。
非力でちっぽけな自分に腹が立ち、理由もなしにオレたちを殺そうとしてくる男に腹が立ち、は頭に血が上ったオレ感情に任せて刀を振った。
単調な動きは簡単に男の手によって抑えられ、刀を持っている右手に錬成反応が起こった。
破壊されると思ったが、バチンと激しい音と共に拒絶反応に似た現象が起こり、その反動に耐え切れず地面に転がった。
息を切らし、俺はコートを脱ぎ捨てる。
「機械鎧……。なるほど、"人体錬成"では壊せぬはずだ。あっちはあっちで鎧をはがしてから中身を破壊してやろうと思ったが、肝心の中身が無い。変わった奴らよ……。おかげで余計な時間をくってしまったではないか」
ごちゃごちゃと何か言っているが、こっちはテメェの予定に付き合ってやるほど暇じゃないしお人好しでもない。
機械鎧を刃物に錬成し、男の前に対峙する。
「兄さん、ダメだ。逃げた方が……」
「馬鹿野郎!!おまえとを置いて逃げられっか!!」
男はまた何かを呟いているようだが、お構いなしに俺は懐へと飛び込んだ。
が、体格差がそうさせたのか、そもそもの力の差なのか、オレの右腕は簡単に捕まった。
そして、オレの鋼の腕は粉々に破壊されてしまった。