第5章 雨の後
――・アールシャナside――
「おいおい、マスタング大佐さんよ。俺ぁ、生きてるタッカー氏を引き取りに来たんだが……。死体連れて帰って裁判にかけろってのか?」
眉間に皺を寄せて嫌味を言うヒューズ中佐に、大佐は額を抑えてため息を吐いた。
タッカーさんが遺体として発見されたのはつい先ほどだ。
合成獣も彼と同じように死亡している。
「たくよーーー、俺たちゃ検死するためにわざわざ中央から出向いて来たんじゃねえっつーの」
「こっちの落ち度はわかってるよ、ヒューズ中佐。とにかく見てくれ」
シートで覆ってはいるが、はみ出した腕や床に広がる真っ赤液体は、遺体の惨状を物語っている。
「自分の娘を実験に使うような奴だ。神罰がくだったんだろうよ」
遺体を確認するヒューズさんとアームストロング少佐の顔は険しいものとなる。
外にいた憲兵も同じような死に方をしていた。
まるで内側から破壊されたようにバラバラに。