第5章 雨の後
「あ!いたいた。エドワードさん!」
オレの名前を呼んで憲兵がこっちへ来る。
その隣はの姿も。
2人ともなにか焦っているようでオレたちを見つけるなり「無事でよかった」と言ってきた。
「どうかしたのかよ」
軽く肩を上下させているに尋ねると、息を整えまっすぐオレを見つめる。
「今すぐ本部に戻ってください」
「今すぐ……?なんで」
「実は連続殺人犯がこの、あたりを……」
彼女は口を閉ざし何かの気配を感じたのか、後ろをゆっくりと振り返った。
その動きにオレも憲兵も彼女の視線を追いかける。
そこには額に傷のある男がオレを睨みつける様に見下ろしていた。
「エドワード・エルリック……。鋼の錬金術師!!」
その殺気に、全身に鳥肌が立ち、嫌な汗が流れる。
「!!額に傷の……」
「よせ!!」
拳銃を構えた憲兵だったが、銃を打つより早くその男は憲兵の顔面に手を当てた。
そして錬成反応と共に憲兵は内側から肉体を破壊されその場に倒れ込んだ。
彼の返り血が頬に当たったが、そんなの気にする暇などなかった。
なんだよ、これ……。
何が、起きてんだよ……。
……なんなんだ、こいつは。
「逃げなさい!!早く!!」
の声は聞こえてる。
聞こえてるけど、身体が……身体の芯が"逃げろ"って悲鳴あげてんのに、足が動かないんだ……!!
明確な殺意、迫りくる死に、オレは初めて恐怖を感じてる。
ダメだ……死ぬ!!
そう思った瞬間、銃声の音と鐘の音が同時に響いた。