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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第5章 雨の後






中尉は静かにオレ達を見ると、ゆっくりと口を開いた。

「タッカー氏は資格剥奪の上、中央で裁判にかけられる予定だったけど、二人とも死んだわ」

衝撃が走った。
死んだ……?
どういう、ことだよ……。

「正式に言えば"殺された"のよ。だまっていてもいつかあなた達も知る事になるだろうから教えておくわね」
「そんな……なんで……誰に!!」
「わからないわ。私もこれから現場に行くところなのよ」
「オレも連れてってよ!」
「ダメよ」
「どうして!」
「見ない方がいい」

その言葉にオレはその場を動くことができなかった。
遠ざかる背中を見つめることが自分の現状だと思うと、無力感に襲われた。

ちっぽけな人間だ、本当に。
史上最年少の錬金術師だとか天才だとか言われているのに、オレが手にした力はなんの役にも立たない。


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