第5章 雨の後
どんよりとした気持ちで、オレとアルは東方司令部へとやってきた。
合成獣にされてしまったニーナを元に戻すことはできない。
なら、彼女の今後はどうなるのか知りたかった。
大佐のいる執務室の前に来たはいいものの、ノックできないまま立ちすくむしかできない。
聞いてもいいのか、聞いたところで教えてくれるのか、なんて考えていたけど、正直に言ってしまえばただ怖いだけだ。
ニーナがどうなってしまうのかを知るのが。
結局、扉をノックすることもニーナのことを知る勇気も出ないまま、オレは踵を返した。
後で、気持ちが落ち着いたらに聞いてみよう。
「エドワード君!」
そう思った矢先、声を掛けられた。
振り返ると、ホークアイ中尉が執務室から出てきた。
手にコートを持っているところを見ると、今からどこかに行くのだろうか。
「どうしたの、こんな朝早くから」
「あ……あのさ、タッカーと……ニーナはどうなるの?」
さっきまで怖くて仕方なかったのに、中尉を見たら聞かずにはいられなかった。