第4章 錬金術師の苦悩
「ちがわないさ!目の前に可能性があったから試した!」
「ちがう!」
「たとえそれが禁忌であると知っていても試さずにはいられなかった!」
「ちがう!!」
激昂したエドワードくんはタッカーさんを殴り続ける。
痛みを感じない鋼の右腕で、何度も何度も。
「オレたち錬金術師は………!!こんな事………」
「エドワードくん」
私は彼の右腕をぎゅっと掴んだ。
「それ以上は、死んでしまいます」
怒りはまだ収まっていないだろうが、冷静になった彼は歯を食いしばりながらも右腕を静かに下ろした。
「タッカーさん、あなたとエドワードくんは同じではありません」
殴られた痛みで動けないのか、壁にもたれままずるりと座り込み荒い息を繰り返すタッカーさんに私はそう言った。
確かに彼らが犯した罪とタッカーさんが犯した罪は命をもてあそんだという点では同じかもしれない。
だけど、彼らはただもう一度だけ会いたかっただけだった。
母親の笑顔を、温もりを、ただ求めていただけだった。
彼らとあなたとでは求めていたものが……。
「ちがいますよ」
同じだなんて、言わせない。