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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第4章 錬金術師の苦悩





家の中を探し歩いて数分。
タッカーさんは研究室にいた。

「なんだ、いるじゃないか」
「ああ、君たちか」

エドワードくんの声にタッカーさんは私達の訪問に気がついた。
彼は私達の方へ向き直ると誇らしそうに腕を広げた。

「見てくれ、完成品だ」

薄暗い研究室。
ドアを開いたことで部屋の中が少しだけ明るくなった。
私達の目に映る"完成品"は、長い毛を伸ばして頭を垂れる一匹の犬のような合成獣だった。
ブラウン色の長い髪の毛はまるでニーナさんのようで……。

ああ、そうか。
そういうことか。
間に合わなかったんだ。

どうすることもできない苛立ち、どうにかできたのではないかという虚しさ、いろんな感情が一気に押し寄せ、自分の無力さを思い知った。
勘違いであってほしいと願った私の思いは、脆くも崩れ去った。

「見ててごらん。いいかい?この人はエドワード」

まるで幼い子供に教えるようにタッカーさんは優しい声で合成獣に話かける。
すると合成獣は首を傾げながらもタッカーさんの言葉を復唱し始めた。


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