第4章 錬金術師の苦悩
「お、おい……!!」
エドワードくんの制止の声は耳には届いていた、届いていたが私の心には届かなかった。
タッカーさんの家の中は不気味なほど静まり返っている。
たった一日しかニーナさんたちと遊んでいないから、普段がどうなのか知らないが、人懐っこいニーナさんとアレキサンダーのことだから、飛びついてくると勝手に思っていた。
こんなに静まり返っているのが、いつものことなのだろうか……。
ドクン……ドクン……。
心臓が、徐々に、大きく、早く、鳴り始め、まるで身体全体が心臓にでもなったのではないかと錯覚するほどうるさくなる。
「ニーナ、さん……」
「そう言えば、いつもなら飛びついて来るのに、おかしいな」
「もしかしたアレキサンダーと一緒に出掛けているのかもね」
そんな呑気な会話が聞こえてくる。
まだ何も知らない彼等は純粋に真っすぐにニーナさんとタッカーさんを呼び続ける。
その姿に、胸が張り裂けそうになる。