第2章 「早く言えよ」
「はぁ〜……」
これは間違いなく、察せられた方だと知って深いため息。この後戻ってくるおんりーになんて言えばいいのか。この状況で告白しろと? 空き皿と食べカスが残ったままの飲食店の中で?
俺がもう一口アルコールを飲み始めた時におんりーが部屋に戻って来た。あれ、みんなは? なんか用事あるから帰って行った。そんなやり取りで話はすぐ片付き、てっきり自分も帰ろうとか言うかと思ったが何か注文し出して余計俺はここに居づらくなった。
「あのー、おんりー?」
「何?」
「まだ腹減ってんのか?」
「デザートくらい食べようかと思って」
「ふぅん……」
「あ、MENも食べる?」
「いや、俺は……いい」
じゃあ俺が先に帰ろうか、とも思ったが、目の前の席に座ったおんりーをこういう場所とはいえ眺められる絶好のチャンスを逃すのは惜しいと思ってしまう。
俺より細い指先。白い肌。そりゃあゲーム実況なんてしていたら日焼けなんてしている場合じゃないんだろうが。その手や指があのプレイを生み出しているのかと思うと、恋心あるなし誰でも気になってしまうものだろう。
「ねぇ、MEN」
「ああ……え、何?」
どうやら何度も呼ばれていたらしい。俺を見つめるおんりーが、少し不審そうな顔をしていた。
「……まぁいっか」
どうでもいい話だったのか、おんりーは何も話さずに俺から視線を逸らす。本当にどうでもいい話だったんだろう。俺も気にならないから黙ってアルコールを飲み終わろうとしたが、ふとおんりーが話し出して手が止まることになる。