第4章 状況をきちんと把握しよう。
そして問題のホエルオーはその船団の前で行く手を難み、「きゅうううんっ」と甘えた声で潮吹きつつ、中央の真っ白な船に鳴いていた。そのせいで船上では何百人もの人が船首に集まっているし、中でも一際巨大な上裸でコートを羽織る大男の姿は目立っていた。男は真白な髭を生やして、頭には黒いターバンを巻いている。その横顔は、巨人のような体躯は、家にある手配書や写真とそっくりである。
シフォン「すごい……あの人が……白ひげ……!!あの人達が……白ひげ海賊団……!!」
【ロト?!それじゃあ、あの人達がマスターの……!!】
やっと、やっと出会えた!!本当に異世界があったんだ!!
漸く、半信半疑だった憶測が確信に変わった。思わず感動で涙ぐみそうになる。けれどその前にまずはホエルオーの説得をしなければならないと、すぐに気分を落ち着けた私が黙って指を差したホエルオーの元まで行ってくれるチルタリス。すると船上では突然空から現れた私達に騒めく声がするけど、誰より「グラララッ」という特徴的な笑い声が愉快そうに轟いた。彼らからは不思議と怪しむ様子が感じられなかった。
──────マルコside
島はもう目前まで来てるってのに、新たなトラブルに遭遇した。と言ってもそれは悪い状況なんかじゃなくて、面白みのある困り事ってかんじだが……。それはでっけぇ鯨みてぇな生き物がモビーの進路を一匹で塞ぎ、ひたすら甲高い甘える様な鳴き声を出してモビーに喋りかけて来るような光景。どうみても求愛だな、こりゃ。
「……オヤジ、どうする?」
「大丈夫だ、ポケモンは人間の言葉を理解できる。話しゃー納得してもらえるさ」
「間違えちまうぐらい動物に見えるってんなら、それはそれで嬉しいよな!」
微笑ましそうに鯨に似た生き物を見るオヤジの隣で、サッチも他の奴らもケラケラ大笑い。船大工達は鼻高々に胸を張るが、呑気すぎじゃなかろうか。
「おーい!コイツは船なんだ。悪いがお前さんの番にはなれねーよい?」
『ホエーッエールッホーッ!!』
「やべぇ迫力……」
「……聞こえてねぇなこりゃ」
「うおっ?!あっち見てみろ、見たことねぇ生き物に乗って誰か来る!!」
「「??」」
オレの大声も聞こえないほどモビーに夢中らしい生き物。なかなか情熱的である、船じゃなきゃ応援したいよい。
