第4章 状況をきちんと把握しよう。
海の如く真っ青な全身が真っ白になったように絶望顔で絶叫したホエルオーへ、思わず申し訳なく謝ったのはオレだけじゃなかった。そして相当ショックを受けたらしそのポケモンは、その巨体に見合わぬ俊敏さを発揮してペコペコ頭を上下する。これは焦って謝罪しているのか?まるで人間のようである。モビー達は勢いよくホエルオーが動く反動で起きた津波に大きく揺れた。
「うおっと……」
「落ちねぇようにしろ〜」
「いてっ……誰だよ踏んだやつ〜」
「すまん」
思わずその場でタタラを踏んでしまう者や、その時に誰かの足を踏んでしまう者、近くの手すりや柱に掴まってる者など、甲板で密集していた家族たちは賑やかに注意し合っている。そんな中で踏まれた奴らも大して怒った様子もなく、生でポケモンを見れた興奮からか浮かれて笑いが絶えない。びしゃびしゃ降り注ぐ水飛沫が気持ちいい。空から慌てて「あっ、コラ!」とお説教する少女の声が聞こえるものの、全船の甲板中から「いいっていいって!」「大丈夫だぞ〜」と仲間が声をかければ申し訳なさげに肩をすくめた。
「……うちの子がすいませんでした。船に損傷とか、お仲間さん達に怪我はありませんか?」
「ああ、そもそも接触してはねぇからな。報告もねぇし、何も問題ねぇよい」
(後日、加筆修正します)