第3章 運命は須くハリケーン
改めて船員達の視線が白ひげとラクヨウに注がれる中、己を隠したラクヨウの背中で暴れて漸く視界が広がった時。大勢の人間に囲まれたその生き物は怯えて戸惑い、緊張のあまり固まっていたが「教えてくれ」という大勢の家族に促され、歩み寄った白ひげを見上げた途端にパアアアッと満面の笑顔になると鳴き声をあげて飛びついた
【───ッ!!───♪】
白ひげ「グララララッ!!そうだなぁ、オレも何十年かぶりに会えて嬉しいぜ?久しいなマナフィ、元気そうで何よりだ!!」
「「マナフィ……??」」
ラクヨウ「そいつの名前さ、カイユウポケモンのマナフィだ」
「「へぇ〜、この子がポケモンなのか…………って、えっ??ええええぇぇぇぇぇっ?!!ぼ、ポケモン?!」」
【?!!】
白ひげ「グララララッ!!」
そうして目に見えて分かるぐらい嬉しげに巨体を物ともせず、逞しい肩に向かって着地すると首元に擦り寄ったポケモンのマナフィ。そんな彼?彼女?との触れ合いを擽ったそうに大笑いして楽しむ白ひげの真下で、ラクヨウがママナフィを紹介すると全員が揃って大行天。そして船が揺れるほどの大声に驚いて周囲を見回すマナフィと、全員の反応が一層楽しく大笑いしている白ひげに、暫し口をあんぐり開けて呆然とした彼らだったが……
「……え、マジで?!」「すげぇぇぇっ!!」「これがポケモン?!」「めっちゃ可愛いくね?!」無事に衝撃から我に返った船員達はそりゃあもう大興奮で、白ひげとマナフィに全員で押し寄せるように群がった。しかしたった一人で浮かれるどころか、混乱しつつも現状が変だと気づいた長男のマルコは白ひげに尋ねた
マルコ「でもよぃ、ポケモンって異世界で暮らす生き物だろ?!何でこの世界に………」
「「!!」」
白ひげ「それは多分、互いの世界が繋がっちまったって事だろうなァ……。ほら見ろ、目の前にさっきまで無かった島がある」
冷静に問うたマルコの言葉に一同がハッと気づいて瞬時に騒ぎが収まり、再び視線が集まる中で白ひげは船の進路の先をニヤリと不敵に笑って顎で指す。なので全員が其方を振り返ってみると、確かに白ひげが来るまで一つも島が無いのを確認したのに、今では徐々に輪郭を成して現れる島があった───────