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おんおら

第1章 ミックスジュースの味


 断る理由もないから一緒に喫茶店へ向かった。こうしてリアルで会うことも何回かあったし、本名は知っているけど、ハングルネームの方が親しみやすくてお互いおらふとおんりーと呼びあっていた。
 とはいえ、こうも人が多いところでは出来るだけ呼びたくはないのだが、悪びれる様子もなく彼が俺の名前を呼ぶ時は少しヒヤリとする。おらふくんは声がよく通るから多分目立つ。
「おーい、こっちこっち」
 目的の喫茶店に着いた時に、おらふくんがテーブル席で手を振っているのが見えた。
 こういう時、彼みたいに大袈裟に振り返せば友達みたいに見えるのだろうが、やはりいつも通り手を上げるだけにしてそちらの席に向かった。
 そして、それぞれの飲みたいものを注文して他愛もない会話をする。
 おらふくんはいつも通りだった。否、誰に対しても彼はこうだったし、今後も変わることはないだろう。人懐っこそうな笑顔。人気があるのも頷ける。
「でさ、おんりーは……」
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