第1章 ミックスジュースの味
「おんりーのこと、めっちゃ好きやで?」
「え」
それは、いつものメンバーで、また訳の分からない企画で遊んでいた時だった。
おらふくんから言われたその言葉は、何気なく言われたような気もするし、自然と言われたような気もする。
だけど、その言葉があまりにも唐突で驚いてしまって。
「おんりーチャン、どうした?」
ゲーム内でたまたま近くを通りがかった俺に声を掛けて来たぼんさんに、どうやってイタズラをしようか考えていた、なんて返して誤魔化した。
そんなこんなで訳の分からないゲーム企画はいつも通りドラゴンを討伐して終了したけれど、エンディングも撮り終えた後に、俺はもう一度おらふくんに訊ねてみた。
「おらふくん、さっきのどういうこと?」
「え、なんのこと?」
ゲーム中なだけあって、色々なことがあった。なので、思い当たる節が多いのか、それとも本当に何もないのかもしれない。
「……いや、なんでもない」
自分の考え過ぎだったかも、と言葉を切れば、ドズぼんは茶化すように言ってきたし、MENはケラケラ笑うだけだ。
そう、なんでもない。なんでもないと思いたかった。
けれどもそれは、おらふくんからの一緒に出掛けよう、と誘われた時に否定出来ないものとなっていった。