第5章 パスタに絡めて
「いらっしゃい、おらふくん」
「お邪魔しまーす」
今日はおらふくんが自分の家に遊びに来る日。いつもキレイに使っているつもりだけど、おんりーの家に行ってもいい? と聞いてきたおらふくんのために予定を合わせてよりしっかり掃除をして置いた。あと他に足りないものはないかとか色々準備をしてようやくおらふくんを自分の家に招いた今日、それでも想い人からの反応は気になるし緊張する。この気持ち、バレてないよな……?
「おんりーの匂いや〜」
入って早々のおらふくんの感想。自分の匂いってどんな匂いなんだろうか。臭くないかな。あ、汗かいてきたかも。
「とりあえず上がって」
「はーい」
客人用のスリッパを指しておらふくんに上がってもらう。これからどうしよう、と緊張していた時、廊下で寝ていた一匹の毛むくじゃらが近づいてきた。
「にゃー」
「あ、らいくんや!」
猫好きのおらふくんはすぐに膝をついた。すっかり人馴れしているらいくんも、最初は少しだけ警戒するも、猫の触れ方を心得ているおらふくんに絆されてすぐに甘えた声で鳴くようになった。
「にゃ〜」
「可愛ええなぁ、らいくん」
らいくんのおかげもあって、少しは緊張が解れた気がする。
そのままリビングに向かうと、懐いたらいくんがおらふくんの足元をついて来た。頬をスリスリして匂いづけしている。俺もそんな風に感情表現出来たら、いつかどこかに行ってしまうおらふくんを引き止められるのだろうか。いやいや、別に束縛したくないからそんなことはしてはダメだ。