第5章 パスタに絡めて
「おらふくん、ご飯食べてきた?」
邪な気持ちを振り払って俺はおらふくんに聞いてみる。お昼の時間に誘ったのは、これが狙いだったから、なんて策略はこっそり胸の奥に潜ませる。
「ううん。あ、先になんか食べて来たら良かったわ」
「いや、俺もまだ食べてないから」俺は出来るだけナチュラルに話を切り出す。「なんか作ろうかなって。せっかく来てくれたからさ」
「え、おんりーの手作り?! やったぁ」
おらふくんなら喜んでくれると思った。俺はおらふくんの笑顔に飛び上がるくらい嬉しくなる感情を抑えて微笑みだけ返してみる。さり気なく笑えていたらいいんだけど。
さて、とキッチンに立って準備をする。おらふくんがパスタ好きなのはこの前一緒に外食した時に調査済みだ。あの時美味しそうに食べていたおらふくんの顔を思い出してついニヤついてしまう。いけない、おらふくんに気づかれていないかな。
見るとおらふくんは、らいくんと猫じゃらしで遊んでいる。こちらに気づいている様子はない。らいくんにはそんな気持ちはないだろうが、おらふくんの余暇時間を相手してくれてありがとう、なんて猫にまで感謝しているくらいの俺は多分幸せ。触れられなくても、きっと。
そんな欲望は外に追いやってパスタ作りに集中する。パラパラとパスタを茹でて、その間に具材を用意していると、いつの間にか隣におらふくんが立っていてぎょっとする。