第4章 ひまわりに潜ませた想い
「ね、そっちのも少し食べていい? 僕の一口あげるよ」
「えっ」
それはつまり、間接キスになるやつ?
俺がすぐに答えられないでいると、おらふくんが気を遣うような目をした。
「あ、もしかして嫌だった?」
「いや、そうじゃないけど……」
俺は反射的に答えると、やったと言いながらこちらのパスタにスプーンを差し出した。
パスタをスプーンで食べるのか? と思った矢先、案の定上手く掬うことが出来なくておらふくんがあわあわとした。俺は思わず笑ってしまいながら、余分に用意されてあったカトラリー入れを指した。
「こっちの使ったら?」
「あ、そうやね」
時々天然な一面になるおらふくんも、本当に愛おしいなと思う。おらふくんがフォークに持ち変えて俺のパスタを食べる姿も、かわいい以外の言葉がない。
「ん、美味い!」
おらふくんはにこりと笑った。いつものことだけど、大抵のものは美味そうに食べるなぁと思いながら、これは自分で作ったパスタじゃないんだから、俺に言われても困ると言うのは心の中で仕舞って置いた。
「今度、俺が作ってあげようか」
「え、ええの?」
「簡単なやつなら」
今度は俺がおらふくんの笑顔を作りたいなと気持ちを潜ませて、スマホにぶら下がったひまわりのキーホルダーを指で撫でた。