私が嫌いな私なんて○したっていいじゃないか(短編集)
第6章 キスの意味
「ふ、不安になってた…?」
『はい…』
あの後、何も言わないまま去るのも失礼だと思いことの経緯を説明した。
「僕…そんなに彼氏らしいことできてなかったかな…?」
『いえ、どちらかというと私の意識の問題でもありますし』
渚さんの眉が少ししょげた。少し余計な勘違いをされたような気がする
「でも、茅野の件もあったし自業自得か…
こういう事はちゃんと僕の口から伝えた方がいいよね。
僕はさ、カルマ君とか前原君とかみたいにかっこよくないし、背も低いし、挙句の果てには男の娘とか呼ばれて…
だからこそ本当に好きな遊夢ちゃんと付き合えるようになった時は凄く嬉しかったんだよ?
でもね、遊夢ちゃんは苦い過去を引きずってるって聞いて、彼氏として、愛情表現として何をしてあげたらいいのか分からなくて………
本当だったらアレみたいに深くて激しい愛し方もしたいって本能では思ってる。
でも僕は遊夢ちゃんを傷つけたくない。」
渚さんは震えた手で私の手を握る
『うん、分かってます』
「遊夢ちゃんの事が好き。愛情も気持ちも全部吐き出したい。
でも傷つけたくないからそういう段階はゆっくり踏んでる。だからもどかしい。
でも、そのもどかしささえ、
愛おしい。愛してる。」
『ッ…!』
「どうしたの?顔隠して」
『……いえ…つくづく私の恋人が渚さんでよかったなぁと…///』
「ふふふ」
恥ずかしがる私を渚さんは抱きしめてくれた
「遊夢ちゃん、勿論僕も関係上言いたいことは色々あるけどさ、
君がそう言ってくれることが一番嬉しいよ」
『……結局、杉野さんの言う通りでしたね』
「何が?」
『いえ、何も。
大好きです』
「僕もだよー♪」