私が嫌いな私なんて○したっていいじゃないか(短編集)
第6章 キスの意味
「……
うぇっ!?///」
あからさまに驚く渚さん
『できれば渚さんの方からお願いします!』
「ちょ、遊夢ちゃん!?(汗」
公共の場で出しゃばり過ぎただろうか?しかしこの機を逃したら私は一生後悔する気がした
渚さんは暫く躊躇った後、私の手を引き路地裏に連れ込んだ。流石に人の目が憚られるところがいい
そして、申し訳なさそうに私を目を合わせると、
ちゅ、と小さなリップ音が鳴る程の触れるだけのキスをした
当の本人は顔を赤くしながら、これでいいでしょ、とでも言うような顔をしている
違う、そうじゃない。貴方が茅野さんしたキスはそんなものなんかじゃない
『もっと』
「え」
『もっと、して』
彼の方が余りにも動きが遅いから、もういい加減私の方から頭を掴み顔を近づけた、が
『どうして、押さえるんですか…』
「…///」
両手で私の口を塞いだ
『………嫌い?』
ショックと寂しさで少し目に涙が滲んだ
「ダメ……これ以上は…///」
『どうして…』
「分からない。
遊夢ちゃんに、何しちゃうか…///」
小さな声で紡がれた
『いいです。何しても。
多分、想像の範囲内だと思うので』
「!」
『それに、私は、本当の渚さんが知りたい。嘘偽りのない』
緊張の糸が切れた
ガッと後頭部を鷲掴み待たない内に感触は来た。手と唇で挟まれ身動きは取れない。
暖かい
柔らかい
しかし、不思議なことに渚さんは一向に舌を入れてこようとはしなかった。まるで、隙間なく私とくっつきたいとでも言うように。
長い、長い、キスだった。
時々方向を変えて、その隙に漏れる吐息、声ですら愛おしい。
あの時と同じようで違う
『ん………ふっ…///』
強引にやった癖に私を見つめる渚さんの顔は明らかに余裕がなく、雄の目をしていた。
唇から滲み出る愛と、背中を昇るゾクゾクとした背徳感。路地裏という場所と暗がりが更に脳を刺激する
口を離した時、恥ずかしさでくらくらしつつもまだ立っていられた。
「遊夢ちゃん、かわい♡」