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私が嫌いな私なんて○したっていいじゃないか(短編集)

第12章 始まりの話


「え、そんな感じだったんだ」

『平居さんはこの業界でも珍しく強気なマネージャーでね…どっちかって言うと経営者みたい…
事務所内でもクソガキコンビとか言われて嫌になっちゃうよ…』

そう言うと茅野さんがご愁傷様という顔をする

「まーその後試しにアイドルフェスに出場させてみたんだけど、特技披露でまさか急にラップをし始めるとはね~ホント私の目に狂いはなかった」

「そういえばブレイクしたのってそれがきっかけだったもんね」
『…こうなるから嫌だったのに…』

口を尖らせる私に渚さんの目が微笑ましくなっていたのは気のせいだと思う。多分



「だからあの時彼女の事情を知っていたのは私だけってことになるね」

「大丈夫だったの?」

『こんな人だけど…仕事では口は堅い方だったからね』





「だから貴方たちには感謝してるのよ」

「…?どうしてですか?」

「三年になってから遊夢の表情が変わった。上手く言葉にできないけど…表情が柔らかくなってきたの。ファンはそういう些細な変化も見逃さないからね。直ぐに結果は数字になった。

この間その理由を彼女に聞いたら友達と先生のおかげだって」



「「「…」」」


『…』

三人の首が錆びた人形みたいにこっちを向く。私は無言で目を逸らした




「ユーミンッ!!」

『来るなああああ!!///』





私は顔を真っ赤にしながらソファーのクッションで対抗した





本当、身勝手で野心的で、


おせっかいなマネージャーだ
















おまけ

「遊夢ちゃん」

『何?』

「さっき平居さんに遊夢ちゃんのことよろしくねって言われたんだけど…どういう意味だと思う?」

『……(まさか、もうバレてるなんて…ないよね

……

ないよね?)』

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