第5章 投影
降谷「…キャルはキレたりするのか?」
ヒロ「…見た事ないけど…見る事になるかもしれないな。」
へらりと力無く笑うヒロの表情に懐かしさを感じていると、フィルと沖矢昴が現れ司令は何処かと尋ねた。
ヒロ「キャルの測定が終わってメインルームに向かったよ。オレ等も今から向かうところ。…今までどこに?」
フィル「彼と僕は上から眺めていましたよ。彼を1人にして船の中を彷徨かせないようにしているので…最も、彷徨け無い姿でしたけどね」
沖矢「…」
降谷「…」
乾いた笑いを向けるヒロにフィルも笑顔を返しているが俺と沖矢昴は真顔で見合っている。
名前「ヒロ!朝食の用意がまだだから手伝ってくれ」
メインルームから顔を出した名前がヒロに向けて話すとその場に居た全員にも来るようにと続けた。
ヒロの後を追ってついていく。メインルームを抜けてキッチンに入ると執事が食器類を全て用意している姿が飛び込んできた。
そうしているとまるで本当の執事のようで、一瞬ポアロのバイトは今日非番だったかと考えてしまった。
すっかり自分の一部になっているようだ。
きっと、彼女も其の姿が自分の一部になっているんじゃ無いだろうか
でないと、其処までサマにならないだろうと考えた。
今日の朝食はガレットらしい。
目の前に差し出されたガレットを食べ進めると旨みを感じて、ただ普通に調理しただけでは無いだろうと思った。
名前「…あんまり美味しくなかった?」
安室「とんでも無い。美味しいですよ。」
沖矢「…カフェで出そうかと思っていたんじゃないですか?」
安室「おや?どうしてそう思ったんです?僕はカフェで働いている事、話していませんよね?」
沖矢「コナン君から聞いていますよ。宅配業以外に、探偵もやっているとか…お忙しそうですね。」
安室「いえいえ毎日充実していますよ。」
名前「カフェで出すのはやめて下さい。日本にいる事が突き止められそうなので。」
沖矢「“誰に”?」
名前「…」
沖矢の質問に名前は“ファンとパトロンに”と笑いながら答えた。