第5章 投影
オレの心の内は全て零と瓜二つのフィルによって全て曝け出されてしまった。
名前「なんでだ?なぜそれが謝る理由になる? 撫でられて不快な相手ならどうしているか分からないが、そうじゃない相手だ。気にする必要はない。…鬱陶しく思ったら睨む事もあるかもしれないが。」
こぞって何人もに撫でられる想像をしたのか、名前は一旦顔を顰めると直ぐに顔を上げて話を続けた。
フィル「…それは…我々も同じですか?」
名前「?」
フィル「僕やシオンが、いつどんなタイミングで撫でても、構わないと…そういう事ですか?」
名前「…?……好きにすれば良いだろう?」
何かを考えるように指を曲げて唇を触った彼女は暫く間を置いて返事をした。
名前の言葉を聞いたフィルはふわりと微笑んで嬉しそうだ。
その顔はオレがよく知っている降谷零の嬉しそうに微笑む顔と何も変わらない様に見えた。
幼馴染のオレでさえ
フィル「…では、その時は“トオル”と呼んでくださいませんか」
名前「それは断る。」
トオル?透?フィルは何故その名前を呼んで欲しいんだ?
すぐさま拒否されてフィルは冗談ですと続けると名前からの制裁を受けないようにした。
ヒロ「…あ、そろそろ明けそうだね」
小さな窓から見える外の朝焼けが視界の端に入る。
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