第5章 投影
その5人の内3人がゼロと沖矢君、あとコナン君だって聞かされてるよ。
でもその代わりにシオンも、喋らなくても良いかって司令に聞いたらしくてね。
そしたら司令は最低限意思の疎通が図れ、緊急事態には否が応でも喋れって命令をしてあるらしい。」
沖矢「なるほど」
降谷「それでシオンは喋らない執事なんだな」
沖矢「残りの2人については聞かされてないんですか?」
ヒロ「それは司令とシオンとの間で分かっているだけで。俺が聞かされてるのは其処までだ。
それと…彼女は結構喋る。特に司令を褒めると喜ぶから、2人でも反応する時が来るかもしれない。」
降谷「名前を今まで通り呼べるならそれで良い。執事の機嫌を取る必要はない。」
沖矢「そうですね、私が気にしているのは名前だけなので。」
ヒロ「それが…」
オレは除隊した奴の事を話した。
降谷「…其奴と同じレベルでは無いが、ヒロの話は覚えておくよ」
沖矢「彼も不運な末路でしたね。」
大した効果は無かった。
2人が部屋に入るのを見送ってメインルームに戻る。
あの2人が本当に部屋で大人しくしているだろうかと考えていると、メインルームの大きなモニターに2人が部屋で眠っているのが見えた。
ヒロ「……え?」
名前「なんだ?ヒロ」
ヒロ「あの2人が素直にベッドで寝ると思わなくて。」
名前「嗚呼、部屋に入った瞬間から彼等が嗅いだのは吸引タイプの麻酔薬だ。当然少しづつな。ベッドに通信機を置いて呼び出し音を鳴らせばあの2人は取りに来る。電話に私が出れば通話が数秒成立するのは確定だろ。」
ヒロ「えっと、それは同時に?」
名前「当たり前だろ?麻酔薬に勘付かれたら出てしまうじゃ無いか。」
ヒロ「…部屋の鍵は?」
名前「私が許可するまで開かない。だが安心してくれ、監禁するつもりはない。ただこの中を自由に歩き回られるのは困る。」
フィル「起きませんよ。僕が調合したんですよ?松田も暫く起きません」
名前「寝かせて来たか。」
フィル「起きたら怠いと思いますよ。寝過ぎて」
松田の状態が伺えてフィルはくすくすと笑った。オレは松田がフィルに突っかかっていた事を思い出して仕方ないかと諦めた。