第5章 投影
突然“助手扱い”されるものだから分からないふりをすると雑にあしらわれ、そこに彼女らしさを感じると面白くなって笑ってしまった。
名前「と言っても、それぞれの家に戻ったら、だね。今はヒロと話してて良いんだよ?」
ヒロ「…特には…」
降谷「ええ。僕も特には、ですね」
名前「そうか。取り敢えず今日は泊まっていって。部屋は幾つもあるから好きに使うと良い。ヒロ、選ばせてあげてくれ。」
降谷「名前さんはどちらに?」
名前「…今日は…予定があってな。」
沖矢「…それで寝る時間を数日前からずらしていたんですか?」
降谷「…なぜそれをお前が知っている」
沖矢「隣人なもので」
名前「寝る時間は別にずらしていない。身体は起きて数時間の活動状態だ。特に問題無い。取り敢えずヒロ、2人とも連れて行け。…邪魔だ。」
ヒロsaid
名前の事で言い争っているのに邪魔だと切り捨てられる2人の肩を叩いて哀れみを向けると同時に振り払われた。
似てるんだけどなと思うと笑ってしまって怒られる事が目に見えてるからその場から少し早歩きで離れた。
ゼロとライをそれぞれ好きそうな部屋に案内すると司令の部屋は何処かと聞かれた。
ヒロ「それが…俺も知らないんだ。」
降谷「…」
沖矢「なぜです?」
ヒロ「えっと、どう言えばいいのか…司令は誰にもその日どこで寝るかを教えない。1番そばにいるシオンさえ知らないんだけど、司令に呼ばれたシオンは必ず其処に20秒以内で辿り着く。」
降谷「…20秒…一体どうやって…」
沖矢「此処はそんなに狭い場所ではありませんし、声も然程反響しない様に造られていると思いますが…」
ヒロ「俺もキャルとノアから聞いた話だけど…シオンは司令狂だから、だと思う。」
降谷「それって?」
沖矢「崇拝しているようなものですか?」
ヒロ「そうだ。崇拝してる。此処からは司令本人から少し聞いたんだけど、名前司令の事を名前で呼んでる2人を宥めるのには少し苦労したらしい。
“5人の協力が無かったら、私は此処に居ない。お前を助け、拾う事もできなかった。
その人たちの事を無下に扱えば例えお前でも容赦しない。”