第5章 投影
沖矢said
差し出された食事に手をつけると名前は俺の前に座った。
沖矢「もういいんですか?」
名前の後ろ側にいる2人に視線を送ると名前は良いんだと首を振った。
名前「それより、煮込み料理を沖矢さんと開発しようかと思ってる。」
沖矢「嬉しい申し出ですね。」
名前「オックステイルとかどうかな?」
沖矢「…それはちょっと…」
名前「流石に牛の尾肉は使わない。普通に牛を柔らかくなるまで煮て……」
沖矢「…どうしました?」
降谷「気にせず続けてください」
ヒロ「俺等もそれに興味があるだけで。」
沖矢「私と、作るんですよね?名前さん?」
名前「…1人にしてたらダメだと思って。」
沖矢「ありがとうございます。優しいですねあなたは。」
降谷・ヒロ 「僕・俺 と、は?(作ってくれないのか?)」
名前「……ヒロは此処で作るから問題無い。安室さんとは…そうだな…今度ポアロにバイトでも入れて貰おうか。梓さんが休みの日にでも」
沖矢「では、私とは貴方の提案するイギリスの煮込み料理にしましょう。…ですが、どうしてイギリス料理に?」
名前「単純に私が食べたいから。ただ…どうだろうな…レーズン…」
沖矢「好き嫌いはよくありませんよ?」
名前「…海外の味は日本人に学ぶべきところがあると私は思うんだ。」
降谷「大いに賛成しますよ」
沖矢「と、いうと?」
ヒロ「足し引の話かな?」
名前「ヒロ正解。例えばボルシチ。アレを海外ではぶつ切りにした肉をそのまま使うが日本では、一度茹で臭みを抜く。これが引き算だ。」
ヒロ「海外ではそのまま強い香りやスパイスを使っていく、この話でいうところの足し算が多いからね。」
沖矢「では、レーズンがそういう部分になっている可能性がある、と?」
名前「それが試すということなのだよワトソン」
沖矢「はい?」
名前「失敗するのは人の常だが、失敗を悟りて挽回出来るものが偉大なのだ」
沖矢「すみません、話が見えません。」
名前「煩え、さっさとレーズン抜きとありで少量作って試すぞ。」
沖矢「とても分かりやすいです」