第5章 投影
降谷said
降谷「赤井だ」
名前「ライだ」
沖矢「沖矢昴です」
ヒロ「……どれが正解?」
真実を暴き出してやろうと思っていたが、
彼女が少し考える素振りを見せた後、名前に
裾を引かれしゃがむと唇と耳を塞がれた。
そこで全てを察して、そういう事ならと
名前の唇に舌を捩じ込んだ。
立場を悪用しているようで背徳感もあるが
彼女も俺の気持ちを利用している。
責められる事はないだろう。
クチュクチュと混ざり合う音と感覚で名前の舌を感じる。
少し目を開けて見れば頬を赤くして息苦しそうに
する名前の顔が見える。
愛しく思っていると、沖矢によって無理矢理剥がされてしまった。
しゃがんでいる間に名前の顔を見て
あの瞬間だけは自分のモノだと思うと自分の頬にも
熱を感じて思わず口元を覆ってしまった。
数秒して真顔になった頃立ち上がると
フィルという自分そっくりな医師に一瞬
睨まれたが、彼は名前に対して抱き寄せる
素振りも頭を撫でて落ち着かせる仕草もしなかった。
ヒロ「…そういえば1週間以上前かな、それくらいにゼロが作ったサンドイッチ食べたよ。腕を上げたな」
笑った顔を向けられ、思い出したのは名前がテイクアウトで2つと頼んだ日の事だ。
そうか、だから2つ
という事は“まだ”ヒロと松田だけなんだなと悟って、名前を悲しくさせそうな質問をするのをやめた。
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