第5章 投影
キャルの声が着いたと話すと外に見えるのはあの船だった。
沖矢昴が車を降りたのを見ると名前から手を話していなかった俺はその腕を引いて自分に抱き寄せた。
降谷「…あまり…我慢させないで下さい…」
先程の沖矢昴が名前の手にキスをしていた所を親指で拭いながら、彼女に口付けると名前は耳まで赤くなった。
降谷「名前…かわい…」
顳顬、首筋、鎖骨と順番に唇を這わせていると名前が小さく声を漏らした。
降谷「…ん?…なんですか?」
聞きながら目を向けるが、彼女の後頭部を支えていた指先だけは首の後ろから服の中に入れ、頸の辺りを撫でた。
身体を震わせる名前を眺めていると鳩尾を殴られた。
普通なら耐えられるのだが、予想外過ぎた事と名前の細い指が丁度良い所を抉る。
そんなに嫌だったのかと離した身体を摩りながら名前の顔を見るが、その顔はただ赤くなっているだけで“嫌だった”とは真逆の表情だった。
僕の視線に気づいた名前がそそくさと車を降りて行く。
続いて降りて名前の耳元で尋ねた。
降谷「名前さん、嫌じゃないのに如何して殴るんです?」
名前「……彼等の前だ。黙ってろ」
車を降りて僕の質問に答える彼女の顔は、彼等が知っている“司令”の顔なんだと判断した。
それは、俺がよく公安でそうしている事に近いと感じる。
後ろに近付く沖矢昴の気配を察知して彼女から少し距離を取ると、彼女はメインルームと思われるドアを開けた。
降谷「……え…」
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