第1章 再演
キャル「取り敢えず、タイムリープって司令にとっては負担なのね?出来るだけ死なない様にって話なんだよ。俺らは司令にとって必要な存在な訳。」
ノア「 命を切り捨てる組織に居るより、
命を拾ってくれる組織で居る方が良いと
思いませんか? 」
「そのタイムリープが出来るって話が眉唾物で信じがたいんだが、それを証明は出来ないのか?」
シオン「…証明…?…司令の言葉を疑うなど…」
キャル「待って待って、なんかある!多分なんか!あるから…!」
殴りかかってきそうな形相の執事をキャルという青年が制する。
ノア「私の正体を知っていて…あの観覧車の暴走を止めた時に乗り込んだ重機のシートに感じた違和感を話せば、信じますか?」
「…話してみて欲しい。」
ノアと呼ばれる元キュラソーが話し始めた。
「東都水族館の観覧車、その車軸を彼等は破壊し、観覧車は地面へ落下後、転がり出した為、私は重機を動かして止めようとしました。
その重機に乗り込んだ時、違和感を感じたんです。
“誰かの上に座った様な”
そのまま重機を動かして観覧車を止めました。
が、それは私だけの力ではなく、後ろに乗り込んでいた彼女のものです。
彼女は突然その姿を現し、アクセルを固定させると私を歪みかけたドアから出して自分も出ると急いでドアを閉め、その直後、重機は観覧車に潰され、炎に包まれました。
観覧車は止まった様ですが、あのままあそこに居れば私は確実に潰され、燃え死んでいた。
組織に見放されたと言ったのは観覧車が転がる前、中にいたにも関わらず私に向けて乱射して来たから。
その時私は組織から消える人間だと悟りました。
重機にあった違和感についてですが、これは私の思い過ごしではありません。
シートに見える様にカバーをかけたその内側に、身寄りの無い遺体を乗せていたそうです。
そんな事、
私があの重機に乗ると知っていなければ不可能
…違いますか?
そしてそれは貴方の時にも使われた方法。
痛みで気絶していたでしょう、貴方は気付かなくても無理は無い。
あの足場を下から崩し、ワゴンに貴方を入れ
別の遺体と入れ替え、火葬した。
もう、頭では理解出来ていますよね?
彼女はタイムリープする事が出来ると。」
キャルと呼ばれる青年がタブレットで写真を広げた。
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