第1章 再演
名前「…キャルが何か、余計な事を言ったのは確定したな。」
!…しまった。考えていた事が名前に読み取られてしまった。これが“洞察力”の一端だろう。…ゼロやライが彼女にこういう事をされたら流石に梃子摺りそうだな…。だが想像してそれは少し笑えた。
名前「…ヒロ、相当隠すのが下手だな。…ノアの発言か?」
彼女の鋭く真っ直ぐ向けられた視線と誰の発言でそう思ったかを当てられてしまうが、今度は反応せずに真顔でいられたと思う。
名前「…瞳孔が動いた。脈は落ち着いていたが、残念だったな。」
手を離しながら姿勢を戻していく名前。
俺は両手で顔を覆い、肘をテーブルについた。
「…名前司令の前で嘘つけない自分が嫌になった。」
指の隙間から名前を見て笑っている顔を可愛いと思った。
名前「で、さっきの話は“我々が提携している各機関”について知りたいといったところか?」
何を隠そうと無駄だろうと、もう当てられる事に驚きもしなくなった。問われた事に対して頷く。
名前「…正直、人に説明するのが面倒だ。」
「え」
名前「…何度言えば良いんだ?こういうのは。名刺でも作るか?…痕跡作ってしまうよな。ぁぁぁぁ………」
「……」
相当面倒なのか項垂れている。
思い立った様に顔を上げ、身体をすくっと立たせると来てくれと言った。
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