第1章 再演
何度目かの暗転と確認を繰り返した頃、突如
今までに感じた事のない苦しみに悶絶した。
「ッー…‼︎…グッ………ハァッ…ッ」
このままその場で見つかってしまう事は得策とは言えない。
だが、どうしようもなく身体がいう事を聞かない。
ワイヤーを伸ばして、身を隠そうにも腕にも、指の一本にさえ力が入らない。
「!…っ……大丈夫か!」
駆け寄ってくる足音に此方に来るなと言いたい
お前が向かうべきはこっちでは無いと叫びたい
どんなに意識を向けようと自分の身体は全く動かない。
やがて私の身体を起こした、その人の顔が見えるよりも前に私は意識を手放した。
ふわふわと漂うような感覚だ。
今までに無い、感覚。
ざらつく地面に戻るんじゃ無かったのか?
ここは、“どこ”だ?
白く眩しく光るようなその場所には
まるで何も存在していないかのようだ。
光は当たっているのに足元を見れば自分の影さえ存在しない。
そして、何となく気付いた。
私は“戻れる回数制限に到達した”のだと。
ただ、そこで「はいそうですか」と納得出来る訳などない。
ーーふざけるな
認めない
今まで散々死なせた癖に
今もずっと殺させる癖に
捻じ曲げるのが一方的で
私を利用して私を殺し殺させ
私の死んで欲しくない人に
死なせたくない人を
無情に奪うだなんて
これからもそうする癖に
それを現実として
私に突き付けようとしている癖に
許せない
許さない
認めない
私の意志で
“戻ってやる”
頭の血管があるのか無いのかは分からないが
感覚で言えばそれがブチブチと音を立てながら切れるようなことだ。
不条理なこの世界に苛立ち、ただ利用されるだけに納得など出来ない。痛みはあれどそんな事はどうでも良かった。
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