第1章 再演
名前「そこまでだノア。もう喋るな。」
ノア「…。」
眠気で一旦離れていた苗字さんが戻って来て、席を立ったノアと入れ替わる様に座る。
名前「ノア、例の店を調べに行ってくれ。キャルに過去の周辺を含む地図を貰って確認を怠るな。」
ノア「了解しました」
名前「ん。帰りにバニラアイス買って来て。」
ノア「…りょ、うかいです。」
突然意表を突く発言にノアのキレのある発言は戸惑いを隠せないものに変わった。
ノアが厨房エリアから出て行き苗字さんと2人になった。
名前「苗字とさん付けは慣れない。呼び捨てで呼んで欲しいが、無理にとは言わない。一瞬シオンが睨む可能性がある事は許してやって欲しい。」
「それ…殆ど呼び捨てで呼ぶ事決定してない?」
名前「…命令にする?」
「そんな事しなくても、呼ぶよ。
名前…司令。」
呼ぼうとしたが、何となく呼びづらくて司令と付けてしまうと彼女は笑った。
その顔を見て、少し目を開いて見てしまった。
普通の女性なんだと、更に彼女を見て気付く。
普通というより、ずっと華奢で身長も低めだ。
凄まじい話を立て続けに聴いていたせいか、
彼女はこういう姿なんだという事を
見ていたにも関わらず、錯覚していた。
椅子を勢いよく立ち上がって厨房に向かった。
名前「何か作ろう。数時間前のココットはキャルが食べたからな。」
「それなら俺が」
名前「いや、2人で対決するんだ。お題は一口サイズで好きなだけ摘んで食べられるもの。3品まで。」
「……いくら司令だからって、オレに勝てると思ってる?」
名前「…忘れたのか?散々聞いただろう。私はタイムリープ出来るんだぞ?」
ーー反則だろ。ーー
そう思ったが、笑いながら首を横に振るしかできなかった。
彼女は楽しそうに調理を始めた。
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