第1章 再演
ノア「あと話していないのはフィルと司令の事ですね。先ずフィルの話をしましょう。
この船の医師、フィル・ホワイト。
…彼は降谷零と見た目がよく似ていますね。
ですが他人の空似という奴です。関係性はありません。
彼はFBIの特別な施設に配属されていました。
元々医師として配属されていた様ですが、
その時、司令の体調管理等を任されました。
確か、どこかのダイナーへ出掛けていた時です
そこで立て籠もり事件が発生し、強行突破しようとした警察の爆弾により、多数の人間が怪我を負いました。当然、重症者も複数。
フィルはその場で出来る限りの人を救おうとしました。
司令はフィルの作業を記憶し、何を如何すれば良いかその場で覚えたそうです。
そばに居た重症者を助けるべく、司令はその人をよく観察し、“今ある物では助け切れない”と判断したと言っていました。
其処で、その重症者の傷の内1箇所を炙ったナイフで塞ぎ、止血したそうです。
それを見たフィルは司令に対し
“君は医者じゃ無い”
“違法だから辞めなさい”と促した。
ですが司令はその言葉に対し
“その法が助けられる人間の命を奪おうとするのなら、それは一体、誰の許可なんだ?”
と言い放ったそうです。
すると重症者であるその人がフィルの腕を掴み
“俺だ、俺が許可する” そう言ったと。
司令はその言葉を聞き、彼を麻酔無しで処置したそうです。
何でも、意識を保たせる為だったとか。
結果としてその重病人は一命を取り留め、その立て籠もりの現場で1人の死者を出す事は無かったそうです。
まぁ、言わずとも司令が爆弾を投げた警官を見つけ出し、爆弾処理班に配属させた事はお察し頂けると思いますが。」
ーーお察しできませんが、
相当怒った事は分かった…ーー
目を閉じ、ギュッと拳を握る。司令を怒らせるとそういう目に合うのかと思った。
ノア「フィルは司令に感銘を受けたそうで、
“自分を縛る法で助けられない
命が存在するなら、そんな法は捨てたい”
そう司令に伝えたそうです。
そこで司令は、
“自ら命を拾いに行けば良い
その場所は私が用意する。
私の組織に入る覚悟がお前にあるならな”
そう言って彼を誘ったそうです。
フィルから聞きました。」
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