第5章 投影
朝食を取り終えると、皿をキャルとフィルが片付けている内に名前は話し始めた。
執事が珈琲を淹れ、俺たちの前に差し出してくれる。
名前「ヒロと松田が、前に聞いてきた話を答えようかと思って。」
降谷「何を聞いたんだ?」
ヒロ「…“どうやってオレ達と時空を移動したのか”」
松田「…」
名前「…以前は意識下で時空移動出来る程、便利なものでは無くて。
突然くる痛みと息苦しさから自分が過去へ戻ると知った。
それが“自分で予測出来れば”或いは“計算して過去に戻る事が出来たら”そんな風に考えるようになった。
…その時はまだ手段が無かったんだが、フィルと相談している内に可能性を見出したんだ。
それが2人の求める答え、“粘膜の接触時に気絶し強制的に自分と共に戻らせる”方法だ。」
ヒロ・松田「「?!」」
安室・沖矢「「……」」
口元を抑えたヒロと松田は驚いた顔をしている。
到底面白い状況とは言えないが名前は堂々と話を進めている。
名前「だがこれは“誰かに見られている状況ではできない”んだ。私が恐れているバタフライエフェクトが起こる可能性があるからな。…死んだと思われる人間や、死んだ事にしなければならない人間にしか出来ない。…今はまだ、それ以外に方法がなくてな。」
その表情はどこか申し訳無さそうで、それは俺には“他にも救いたい人がいるのに”と言っているように思えた。
降谷「“なぜ”…?」