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【KP】ブロマンス

第5章 【5KP】1999






「…そうですか。話はわかりました。

いま、あなた達は日本でたくさんのファンが
ついていて、うちの事務所を牽引していく
ことが期待されているグループです。

それは…わかってるわよね?」


その問いに俺たちはまばらに頷く。


「私はあなた達ならSMAP、嵐に次ぐ
国民的アイドルになれると信じています。

その道を閉ざすことになっても
挑戦したいと…?」

平野「少なくとも、僕はそのつもりです。」


静かに、
でもきっぱりと言い放つ紫耀。


「……具体的な考えはあるの?」

平野「Magic Touchとか、ichibanとか…
そういうHIPHOP路線に手応えを感じているので
もっと突き詰めたいと思ってます。」

「…なるほど、ねぇ。
少しだけ、シビアな話をしてもいいかしら?」


一瞬で室内にピリッと張りつめた空気が
立ち込める。


「まず、そもそも…あなた達はそれらの
ダンスナンバーを口パク前提でやってますよね?

日本はアイドルの口パクや被せに対して
かなり寛容です。それは…世間が
そこまでの歌唱力をアイドルに求めてないからです。

それに対して、あなた達が挑戦しようとしている
海外はリップシンクにとても厳しい。

それに言葉の壁は?
現状、英語での日常会話もままならないのに…

ジョークを軽く返せる、くらいまでにならないと
正直、厳しいと思いますよ?」

平野「もちろん、それも覚悟のうえです!!」


社長は正直、ムカつくけど
確かにド正論で、思わず力がこもる。


「…そうね。もちろん、あなた達なら
努力し続けてくれるとは思います。

だけどここで一旦考えてほしいのは…
それだけの努力をしても今より売れる保証は
どこにもないってこと。

勿論、ついてきてくれるコアなファンは
一定数いるでしょう。

だけど、あなた達のアイドル性に魅力を感じてる
ファンはどう?
そんなことを果たして望んでいるのかしら…?

彼女たちの多くは
アイドルのままでいてくれることを望んでいると
私は、思いますけどね。」

平野「けどアイドルって…限界ありますよね?
思っちゃうんすよ。
いつまでやんなきゃなんだよって…。」



多分、これが
紫耀の心からの声で―――…。



そんな紫耀の悲痛な想いを受けて
ひと呼吸置いた社長が言葉を返す。











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