第5章 【5KP】1999
そんな俺にとっての2、3年は
あまりにも大きすぎて。
どうしても廉の最後の願いを
受け入れることはできなくて…。
そんなことを考えて何も言えずにいたら
じんがめちゃくちゃ優しい笑顔で
2人を見つめながら話し始める。
神宮寺「廉と海人の気持ちは…わかった。
話してくれて、ありがとう。
全員後悔しないように充分話し合って、
今後について結論が出たら
社長のとこに5人で話しに行こう。」
じんのその言葉を合図に3人が退室すると
楽屋に取り残されて泣き崩れた海人と
呆然と立ち尽くした俺…。
「れんれん!どうしよう!!
ねぇ、、オレたち、どうなっちゃうの?!
れぇん…、怖いよ。。」
「俺にもわからんよ…3人がそんなこと
考えとるなんて思いもしとらんかったし、俺…。
紫耀なんか、10年以上も一緒におんのに
気付かれへんかった自分が情けないっちゅーか…」
「オレだって…オレだってそうだよ…。
ねぇ、、キンプリ、どうなっちゃうの?
3人も抜けたら解散になる…?
オレたち、どうすればいいの??
2人で続けられる…?
オレにできることって何…?
わかんないよ、オレ…。」
「海人、、このあと
もし都合つくならうち来ん…?」
「いっ行くぅーーー。。」
廉の腕にしがみついたオレを
そのままズルズルと引き摺るようにして
自宅に連れ込んでくれて…。
いつもはあんなにうるさく言う手洗いも足洗いも
この日だけは何も言わずに家に上げてくれた廉。
最初は動揺したオレの話を
廉が聞いてくれてた気がするのに、
お酒が進むと、3人の前では冷静に
振る舞っていた廉がたくさん吐き出してくれた。
取り繕われてない
ありのままの気持ちを…。
正直、こんな廉を見るのは初めてで
少しだけ、戸惑ったけど…
オレにさらけ出してくれたことが嬉しくて。
今まではオレが廉を頼ってばっかりだった
気がするのに、オレの存在が
少しは廉の救いになれてるのかなって…。
先が見えなくて
不安しかなかったオレにとっては
それだけが希望だったんだ。
秘密裏に進める必要のあった話し合いで
家族にも打ち明けることができなかった
気持ちを共有したそのときのオレたちは
確実に、
この世界で2人ぼっちだったんだ―――…。