第1章 はじめまして。久しぶりですね。
夜、私は薪割りのために、夜遅く、城内へもどった。
カツカツと向こう側から、歩く音がする。
私は、暗闇で顔は見えないが、軍服と、マントで身分の高いものだとわかる。大公ではないか?
私はその時見てしまった。
本来無礼であるはずなのに、疲れていたのかもしれない。足が動かなかった。
その目を見た時私は彼の全てがわかった気がした。
グレーの大きな瞳には、冷徹さ。
でもその奥に、優しさと深い悲しみと、希望が見えた。
彼の人生の全ての痛みが入ってきて、私は胸が痛くて、
それでもこの胸の奥の魂出会えたことに喜びを感じていた。
時空が歪んだように少しも動けなかったけど、
私は慌てて、壁際に立って、お辞儀をした。
大公は、私の前で立ち止まった。
何を言われるのだろうと汗が滲む。
しかし何も言わず、カツカツと、音を立てて、彼は去っていった。
まだ、心臓がバクバクと動いていた。
どうしてしまったんだろう。
恋だろうか。それにも当てはまらないような、強い衝撃に立ちくらみしていた。