第1章 女神誕生
コムギは魔力を辿ると最果ての村と呼ばれるハージ村についた。
雪の降る中、コムギが感じた魔力の元へとたどり着くと、
?「…ぼ、ぼくの…ペン…ダン…ト…返し…て。」
男「ガキがこんないいもん持ってても勿体ねえよなあ!?」
(!!!!)
小さな男の子が大人の男に暴力を振るわれている。
コムギの村には暴力を振るうような大人はおらず、初めての光景に足が竦む。
(あんな小さな男の子を…!)
コムギはどちらの視覚にも入らない位置から2人を見ていた。
助けなければならない、そう思うが足が動かない。
コムギの背中を嫌な汗が辿った時だった。
その男の子が自分の魔法を大人の男にぶつけようとしていた。
男「そんな魔法で俺にかなうわけねえだろ!それともなんだ?ここで…死ぬか?」
その言葉に勝てないとわかっていたのか、男の子は泣きながら下を向く。
(…こんな、こんな事があっていいわけない!)
そう思いその場に飛び込もうと思ったコムギだったが、
?「ユノー!!!!!!!!」
コムギがいる方向とは逆の方向からユノと呼ばれた男の子と同じような年齢の男の子が走ってくる。
そしてそのまま男に掴みかかって行った。
男「なんだ、このガキ!」
?「それはユノのだ!返せー!!!」
男はもうひとりの男の子を殴りながら振り払う。
だが、何度殴られて振り払われてもその男の子は向かっていく。
?「返せー!!!!!」
鼻を殴られたのか鼻血が出て、目も腫れているにも関わらず何度も、何度も向かって行く。
ユノと呼ばれた少年はその光景をビックリしたような表情で見ていた。
(あの子、あんなにやられてるのに向かっていってる。痛いはずなのに怖いはずなのに、。)
何度振り払っても向かってくる男の子に嫌気がさしたのか男が倒れている男の子に魔法を使おうとしていた。
?(くそっ!絶対に絶対に諦めねえ…!!)
そんな気持ちとは裏腹に自分に向かってくる魔法を見て少年は思う。
?(…あ、おれ死んだ…。)
その時だった。
辺りが一瞬眩しくなり、その一瞬のうちに少年の前に女神のような綺麗な女の子が立っていた。