第1章 女神誕生
「よいしょっ、と。」
コムギは魔法を使い遠く離れた川と家を行き来して綺麗な水を家に運んでいた。
「今日もちょっと時間がかかるかもな、。」
いつもコムギは自分の家の分だけではなく村のみんなの分の水も準備している。
コムギたちの村は貴族の住まう地域から川が流れているがその水はあまり綺麗ではなく、飲水として利用するのは難しい。
そのため、遠くの川まで来て水を汲んで持って帰って、の繰り返しをして村の飲水を確保している。
何十往復もしていると、もう夜が近くなっている。
今日は父が料理担当のため問題ない。
「もう少し頑張ろうかな。」
そしてまた数時間が経ち、当たりは真っ暗。
バケツで運んでいるため時間が掛かるのは当たり前だ。
父と母には遅くなることは伝えている。
しかし、そろそろ帰らないと心配を掛けてしまう。
「そろそろ今日は終わろうかな。」
そう思った時だった、。
「…この魔力の揺れって…。」
コムギはこの年齢で魔力探知が出来る。
そして遠くの村でとても小さな魔力と下民の大人が持っている魔力がぶつかりそうになっているのを感じる。
「…この魔力量じゃ勝てないよ…。」
いても経っても居られずコムギは魔法を使った移動でその村を目指した。